灰にまつわる話

  • 2017.10.03 Tuesday
  • 17:51

 

アルカリの灰は、酸というエネルギーを呼び込みます。

 

日本の昔話の花咲爺さんも「枯れ木に花を咲かせましょう」

と灰をまいて、お殿様の前で、見事に花をさかせます。

 

ヨーロッパの民話のシンデレラの意味は灰かぶりだそうです。

日本各地、世界各地に灰にまつわる民話が語り継がれています。

 

飛行機の機内誌で見つけた

沖縄版、シンデレラ(男バージョン)をご紹介します。

 

 

 

沖縄の昔話 灰坊

 

 ある大金持ちの家に雇われていた若い男のお話です。

 その家では、たくさんの人が働いていました。畑仕事、家畜の世話、水汲み、

家の修繕や衣食にまつわること。やることはいくらでもありました。

 そんななか、その若い男は、皆がやりたくない仕事を押しつけられ、

食事も皆より一段低い場所で食べるなどしていました。

それでも若い男は文句も言わず、一生懸命に働いていました。

 沖縄でも冬の夜には冷え込むことがあります。しかし男には夜具もなく、

台所のかまどから灰をかき出して、わずかに暖かさの残る灰に体をうずめる

ようにして眠るのでした。朝になって灰から出てきた男の体はいつも灰だらけで、

皆から灰坊と呼ばれていました。

 

 しかし真夜中、男には別の顔があったのです。

 一日の労働で疲れきった皆が寝静まる頃になると、灰の中から起きだして、

体を清めてから武術の鍛錬をしたり、隠してあった書物で勉強をしたりするのです。

そしてまた夜明け前に灰の中で眠るのでした。

 

 そんな男の姿を、主の家の一人娘が偶然見ていました。

いつも真っ黒になって働いているか、灰だらけでいたので誰にも

わかりませんでしたが、実は見目麗しい男でしたので、

娘は一目で恋に落ちてしまいました。

 恋の病ですっかり元気をなくした娘を心配して、どうかしたのかと

両親が尋ねると、最初は何も答えなかった娘ですが、

やがて「結婚したい」と言いました。

 

 なるほど確かにもう年頃だと思った両親が、「好きな男がいるのか」

と聞くと、「家に雇われている男の一人だ」と答えたので、

両親はびっくりしてしまいました。

 

 働いている男たちの中には、百歩ゆずったとしても婿養子にしても

よいと思える男はいなかったからです。

 「いったい誰だ」と問う両親に、娘は顔を真っ赤にして、

「灰坊」と言いました。」

「灰坊って誰だ」とさらに問う親に、娘は説明しましたが、

両親は「よりによって、あの男か」と絶句する始末。

当然、猛反対でしたが、思い詰めた娘は、

「灰坊と一緒になれないなら、私は死ぬ」と言い出しました。

 

 困り果てた両親が灰坊を呼び出して話をしてみると、思いのほか賢く

思慮深い男であることがわかりました。そこで、娘の気持ちを伝えると、

灰坊はしばらく考えて、「いいでしょう」と言いました。

 

 祝事の前の日。」それでは私はしたくをしてきます」と言って主人の家を

出た灰坊は、川で体を洗うと、山の向こうの一軒家に出かけて行きました。

その家には老婆が一人で住んでいました。

 

 灰坊は老婆に「おばあさん、長いこと世話になった。

私は結婚することになったから、預けておいた着物と書物、

そして馬を持っていくよ。おばあさんもこともきっと後で迎えに来るから」

と言うと、美しい着物に着替え、馬に乗って大金持ちの家に戻りました。

 

 その立派な姿を見た大金持ちの一家は驚くやら、喜ぶやら。

使用人たちは、これがあの灰坊かと腰を抜かしてしまいました。

 

 そうして灰坊と娘は、末長く幸せに暮らしたということです。

 

 (日本昔話通観第26巻 稲田浩二、小澤俊夫責任編集 同朋社出版)

 

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